大判例

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東京高等裁判所 昭和26年(う)2140号 判決

憲法第三五条は捜索押収には、原則として令状を必要とすることを規定しているが、これと共に、又その例外の場合あることを明らかにしている。即ち、現行犯人逮捕の場合には必ずしも令状を要しない場合があり得るのである。故に、犯罪捜査の権限を有する者が、現行犯人逮捕に当り、必要にして且つ急速を要するときは、令状を待たずしてその場において捜索押収することは、同条が保障する基本的人権を毫も犯すものではない。而して収税官史は国税犯則取締法によつて国税に関する犯則事件についてはその捜査権限を附与せられているのであるから収税官史に対し国税犯則事件の現行犯人逮捕の際、必要にして且つ急速を要するときは、令状なくして捜索押収をなすことができる旨規定した国税犯則取締法第三条第一項の規定は憲法第三五条に違反するものでない。のみならず右法律第五条によれば収税官史が職務上臨検、捜索又は差押を為すに当り必要あれば警察官又は警察吏員の援助を求めることができるものなるところ、本件につき記録を査閲するに、収税官吏大蔵事務官佃和男は昭和二六年三月一六日司法巡査池田正次と共に被告人の肩書住居に臨み同巡査の応援の下に同巡査の携行した同月一五日附上田簡易裁判所裁判官増山頴の発した逮捕状により、被告人が本件犯罪の用に供したもの又は犯罪によつて得たと思われる釜、冷却器、焼酎その他原判決主文第二項掲記の物件を所持するに鑑みて被告人を準現行犯と認めて逮捕すると共に右佃収税官吏においてその場で右物件を差押えたものであり、これにより同物件は結局原審の押収に帰した後原判決によつて沒収の裁判を受けるに至つたことを推認するに十分である。故に同行の司法巡査によつて令状に基く逮捕を為したことは準現行犯に対する手続としては被告人の人権を尊重したものであつて、これがため右差押の効力を減殺されるわけはなく、従つて亦原判決において同物件を沒収したことを以て違憲無効なりと為すは失当である。論旨は理由ない。

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